さて、前回は「北ってどこ?」の前編で
「まず1つ目は、地軸を基準とした北極点だよ」
・・・というお話でした。
今回は
「2つ目は、方位磁針が指す北だよ」
・・・というお話です。
「方位マニア初級者」にとって最初の難関「そもそも北ってどこ?」を考える際、
2番目に思い浮かぶのは「方位磁石の指す北」でしょう。これを「磁北(ジホク)」と呼んだりします。
この「磁北」は「地球は大きな磁石」なので「S極を北」「N極を南」とした場合の「地磁気北極」=「磁北」とよく勘違いされます。
実は方位磁針が指す「磁北」は、実際に多くの磁力線が収束する「地磁気北極」や方位磁針が真下を向く地点(磁北極)でもなく、様々な地磁気の影響を受けて、もっと違う方角を指しています。例えば、日本で方位磁針が指す磁北は、「北半球で最も地磁気の強いロシアのシベリア地方のバイカル湖の北側辺り」の影響を受けて「地軸の北極」でも「地磁気北極(北磁軸極)」「磁北極」でも「バイカル湖北部の偽磁北極」でもない、微妙なドコかを指しています。そうです、「方位磁針はどこからでも同じ一箇所を指している」 のでは無いのです。
例えば2005年に計測されている「地磁気北極」は、北緯79.7度/西経71.8度(磁北極は北緯84度/西経120度辺り)。つまり本来、日本から「地軸の北極点」に向かって、東寄りに方位磁針は振れるハズですが、実際には「地軸の北極点」より4~10度ほど西寄りを指します。これを「西偏角」と呼び「磁北」を基準にする流派で使われることも少なくありません。
この西偏角は「地軸の北極点」と「地磁気北極」のズレがメインではなく、バイカル湖北部の強い磁場の影響もとても大きいということを知らない「方位マニア」も多いと思います。(私も最近まで知りませんでした(^^;)
しかも地磁気極は常に少しづつ移動しており(地磁気永年変化)、地磁気も日々刻々とその向きが変化しているそうです。日本における偏角で言うと10年で10~30分も移動しているらしい。まさに地球は生きている!これもロマン♪
参考:WDC for Geomagnetism, Kyoto
:(財)日本地図センター(Q&A6-10)
:Planetary Geodynamics Laboratory at NASA
:Google Scholar(Baikal lake + magnetism)
:Security Akademeia
このバイカル湖付近の磁気に関して詳しくは分かりませんが、どうやらバイカル湖に強い磁気を帯びた沈殿物?隕石?が在るようです。1800年ころからその影響で、日本では西偏角が出るようになったそうです(今でも年々少しづつ西へ偏ってるそうです)。この沈殿物?に関しては外国で色々な人が調査報告などを書いているようですから、色々と検索して読んでみると面白いかもしれません(私は外国語が苦手です(‘A`)
ココでツングースカの隕石落下を思い出した人は、一般社会ではディープな人種に入ります(笑
ちょうどバイカル湖の北部辺りですもんね。でもアレって1908年かそこらだったらしいので、100年も違うんですよね(^^;
現在のところ、地磁気の発生原因は完全には明らかになっていませんが、各機関の大勢の方々の汗と涙の結晶である測定データのお陰で、場所によって強弱があることはハッキリしています。一般的に赤道付近では弱く、極へ近づく(高緯度)ほど強くなるようです。もちろんこの強弱や向きについては、地盤形成物質など場所による違いもあったり、太陽風などの宇宙線の影響(磁気嵐など)で1日のうちでも刻一刻と変化もしています。
地磁気は宇宙からの過度の荷電粒子から地表の生命を守るバリアを成しているそうです。誰もが知ってるようで知らない磁力。磁力が人体に与える影響について科学ではまだ明らかになっていないことが多数あると言われています。
地球が生きているからこそ常に動く磁力線。その変化の恩恵を受け共に生きるワレワレ地球生命体!
次回、「北ってどこ?(後編)」です。
関連記事:
第1回:はじめに
第2回:北ってどこ?(前編)
第3回:北ってどこ?(中編)
第4回:北ってどこ?(後編)